飲食店が立ち並ぶ名古屋・錦エリアに店舗を構え、県外からも名物のはまぐりを求めて多くの客が訪れる「はまぐり屋」。焼きはまぐりを中心に、刺身、むき身を使った揚げ物、しゃぶしゃぶ…とバリエーション豊かな食べ方ではまぐりを提供している人気店だ。
はまぐりの産地として知られる桑名に拠点がある貝の卸問屋が運営するお店とあって、提供するはまぐりの質は地域でも随一。生産から販売までを手掛ける強みを活かし、常に新鮮なはまぐりを出すことを心がけているというが、納得できる貝がない時は数日にわたり品切れとすることさえあるのは、品質へのこだわりの裏返しだろう。
店では天然・蓄養のはまぐり両方を扱っており、天然は五年物、六~七年物、八~十年物と異なる時期を食べ比べることもできる。五年以上育ったはまぐりは貴重でなかなか目にする機会がないが、初めて見る方はその大きさに驚かれるかもしれない。
味わいとしては、年を経て大きくなることでコリコリとした歯応えが増し、食べ応えがしっかりするという。サイズだけでなく、旨みも強くなり、実際に食べてみると口の中に溢れる味わいの深さが若い貝とは大きく違っていた。
はまぐり屋を訪れたら是非とも食べてほしいのが名物の焼はまわんこ。同店オリジナルのはまぐりの食べ方で、「わんこそば」のようにストップと伝えるまで焼きたてのはまぐりが味わえる。
同店を展開する株式会社ITfoods代表の古川さんは「まずは焼きはまわんこを食べて、桑名産のはまぐりの美味しさを感じてほしいです」と語る。
桑名がはまぐりの名産地になったのには地理的な特性が関係している。木曽三川が流れ込む桑名は、汽水域であり波が穏やかなエリア。ここで育ったはまぐりは身が柔らかく、フワッとした食感で甘みが強いのが特徴だという。
はまぐりなどの貝を中心とした魚介の卸問屋が中部地方一の大繁華街で飲食店を開いたきっかけは「お客さんに美味しいはまぐりをもっと気軽に食べてほしい」という古川さんの思いからだった。
開店当時は割烹や日本料理店など高価格帯の業態で提供されることはあっても、はまぐりなどの貝を手軽に楽しめるようなお店はなかったそう。また、卸業者・生産者が直接消費者と接点を持つような場も一般的ではなかったため、はまぐり屋の開業は大きな挑戦だった。
結果的に、そうした心配をよそにオープン後から多くの客が来店し、「生産者が良いものを直接消費者に届ける」という狙いは大ヒットにつながった。現在のように地元の人だけでなく、県外や海外の客が店を調べて訪れるようになるのにも時間はかからなかった。
初めて来店した人へのオススメを聞くとこんな答えが返ってきた。「まずは焼きはまわんこではまぐりの味わいを楽しんでもらい、その後は焼きはまぐりの味付けを変えてもらったり、だし巻き卵のような変わり種を楽しんでもらったり。最後は出汁が効いたラーメンをおすすめしています」
はまぐり屋はドリンクメニューの幅も広いが、地元・桑名をはじめ三重の地酒も揃えている。産地のペアリングを楽しむのもいいだろう。
この記事の著者
ライブドアグルメ編集室
ポイントが貯まる加盟店情報や、食通の間で話題のお店・名店・老舗・穴場・名店の情報をお届けします。