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浪花屋
デパ地下の物産展など見ていても感じることだが、
レトルトや冷凍食品などの技術の「進化」とも併せ、
ファミリーレストランのみなず、
カフェやラーメン屋までそこら中にチェーン展開し、
全国どこでも同じ味が楽しめる。楽しめる?ほんとに楽しいことか?
だが、チェーン店が不味いというのは短絡で、
ライバルとしのぎを削る厳しい業界、かなりの開発努力をしているはずで、
一定のレベルを越えているということは言うまでもない。
けれども、わたしはそのたぐいの店にはほとんど足を運ばない。
とりわけ旅先で、自宅の近隣にもあるようなチェーン店に入るのは、
苦痛というか、我慢ならない。拷問のようだ。
家の近所ではまれに利用するがそれは、
あまりに疲れていて何でもいいから無難な食事をしたい時だ。
コンビニ弁当では味気ないとか、温かいものが食べたいとか、そんな時だ。
全国どこでも、ある一定のレベル以上の食事ができる場所が
増えることは構わないが、
そういうものには決して凌駕できないものがあるとすれば、それは
想い出だろう。
大人になって好きになるお酒というのは、
その人が育った土地の水質と近いものなのだ
ってなことをどこかで読んだことがあるが、
なんか旨い不味い云々の前に
身体に染み込んだ記憶に織り込まれた好みというものが
きっとある。
五年ほど前、帰省の折に最近流行りのたこ焼き屋があると聞きつけて、
行列してみたのだが、なんてことはない、
都内でチェーン展開している店に似た
中がトローリ外はサラダ油でカリカリに揚げ焼きしたまあるいやつで、
少々落胆したのだが、浪花屋のたこ焼きは外はぶよぶよ、中もぶよぶよだ。
わたしの生まれる前から何十年も高崎市民に
「浪花のたこ焼き」の間違ったイメージを植えつけている。
だから、大人になってから大阪でたこ焼きを食べたとき
ひどくガッカリしたのを憶えている。
しかし、大阪のたこ焼きは別に悪くない。
わたしが勝手に浪花屋の特上版みたいのがあると無茶な期待をしたのが
悪い.....
今はプラ容器になったが、かつては土産の寿司折みたいな紙箱で、
そのころの方がぶよぶよ感が強く、
わたしはひそかに「たこ煮」と呼んでいたほどだ。
たっぷり塗られたというよりひたひたにされたソースは、
ウスターソースと胡椒が効いていて酸っぱく後からちと辛い。
旅の方には「おいしいから」とは、進んでお勧めはしない。
あなたの育った土地にも、きっとある「浪花屋のたこ焼き」を
想い出してもらうためであるならば、
お近くにお寄りの際は、必ず食べていただきたいとは思うけれども。