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夜 15,000円~25,000円
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オハラス
夜 15,000円~25,000円
地下に通じる階段はあまり期待感を高めるような感じではない。しかし、扉を開けると、柔らかく清潔な空気がやさしく包む。実に素朴な衣装のマダムがにこやかに出迎えてくれる。家庭的な雰囲気に、ちょっと戸惑うかも知れないし、華やかさや適度の緊張感を求める人には向かない。メニューはアラカルトもコースも選びやすい構成になっていると思う。初めての訪問だけに、シェフのお薦めを選択したが、内容を聞くと、ごく普通のメニューのようで、少しがっかりする。特に私はメインに牛肉のステーキ系は頼むことが少ないので、失敗かなとかすかに思ったが、とんでもなかった。
アミューズはスプーン一杯のブータンノアール。マダムに「初めてだ」と漠然と告げたので「この店が初めて」なのか「フランス料理が初めて」なのか迷ったのかも知れないが、「こういう料理は大丈夫か」とマダムが心配してくれた。あまりそのような心配をしてくれなくても大丈夫な、癖のないが風味の失われていないものだった。この後の展開が凄かった。フォアグラはカリカリのブリオッシュに乗り、甘めのカラメルのようなソースがかかっているものに、温野菜の付け合せが付いている。この組み合わせが納得行くもので、フォアグラだから味が濃いのは当然だが、野菜とのコンビネーションがとてもよい。そしてアミューズが過ぎ、オードブルを半ば食べ終わっているのに、ワインを勧めてこない。もちろん食前酒のシャンパンはとっくに飲み終わっている。やはり、「初めて」と言った客に無理強いしない配慮と思われる。そこでワインリストをもらい眺めると、他の方の指摘もあったが、価格が高い物が多い。これでは簡単に薦められない。ボルドーの赤も80年代の物が多く、2万円以上の値付けが中心だ。マダムに予算を告げ、お薦めを上げてもらったが、ソムリエはマダムの仕事らしい。私もワインに詳しくないのでその後で市場価格を調べたのだが、結構良心的な値付けらしいことがわかった。私たちの頼んだ年代物はあと5本しかストックがないとのこと。保存手数料は度外視して、仕入れ値と市場価格の差額だけ儲ければいいとの鷹揚な態度なのかもしれない。そしてハマグリの入った魚貝のスープ。あっさりというよりは味わい濃く、デミタスカップに入っているのが物足りないくらいおいしい。これはメインへの期待が高まる。魚は小さなアマダイを鱗までカリカリに焼いて、マッシュポテトの上に乗せ、白いソースをかけたもの。説明を聞くと何てことない古典的に近い料理のようだが、その全体のハーモニーが素晴らしい。決して軽いだけではないしっかりと味が付いていながらバランスの取れた説明しにくい充実感のあるものだ。シェフの長いキャリアが見事に発揮されているのではないか。肉は銘柄和牛のブラウンソースの煮込み。銘柄和牛にありがちな、やわやわで脂肪過多の部位ではなく、脂身は少ないが弾力があり、適度の噛み応えが感じられてとても好ましい。とにかく見識の高さ、確かさが伺える。デセールのブラマンジェもさっぱりとしていて、するっと食べきれた。
とにかく素晴らしいレストランで、次は是非アラカルトで再訪したい。