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東京食道楽さんのクチコミ詳細

寿司孝 伊豆、熱海、三島(来宮)/ 寿司[ 平均:評価:5.0pt5.0pt ]

2009/10/15 総合5pt5pt

 熱海に滅法旨い鮨屋があるとの噂を聞いた。九月の下旬、姉と二人平日の休みに、湯河原や熱海で所用をすませ、昼下がりに清水町に辿りついた。銀座町から糸川を越えた初川の横路地に、目当ての「寿司孝」はひっそりと佇んでいる。店のすぐ近くには有名な熱海芸妓見番もある。古びた木製格子戸を引いて白暖簾をくぐると店内は閑散として、どうやら私達が最初の客のようである。若い店主に「おまかせでお願いできますか」と告げると、シャイな方なのか俯き加減で「いいですよ」と迎えられた。

 長髪にバンダナを巻いた細面の御主人は、鮨職人のイメージとは、およそ掛け離れている。火消袢纏なども飾られた店内は、いかにも熱海の老舗という風情であるが、カウンター奥に置かれた写真立てからは、舌を出したアインシュタインがこちらを覗いている。私には、主人も店もどこかアンバランスな雰囲気に感じられた。やがて主人の上品な母上が茶を運んでくる。

 先ずは瓶ビールを注文して渇いた喉を潤す。突き出しは「小松菜の煮浸し」の小鉢が供された。煮浸しを摘まみみながら、つけ場をぼんやり眺めていると、主人は冷蔵庫より一尾の平目を取り出して、おもむろに捌き始める。その仕事振りは、驚くほど丁寧なものである。かなりの間をおいてから、彩光を放った一貫の「コハダのシンコ」が供された。さっと酢でしめられ、小さめのシャリで握られたシンコは感動するほど美味い。

 「寿司孝」ではゆっくりと時間が流れる。富山の辛口銘酒「立山」の温燗を舐めていると、塩で「ヒラメ」が出される。歯応えのある地魚の白身からは、主人の庖丁の冴えを強く感じることができた。三貫目は煮きり醤油が塗られた「ヒラメ」である。おまかせの定番、母上の手料理「蓮根の団子」は滋味に富んだ一品である。すしネタは「ミル貝」、「赤貝」と続いて、「蜆と長葱の味噌汁」で一息入れる。その後、「鯵」「中トロ」「大トロ」「海胆」「玉子焼き」が供されて凡そ一人前となる。もう少しお願いすると「中トロ炙り」「マグロ漬け」が握られる。最後はお好みで私は「石垣鯛」を、姉は「平目のエンガワ」と「シンコ」を注文して締め括った。

 時間を惜しまぬ仕事ぶりに合わせ、一時間半ほどの昼餐の時間である。酢飯、すしネタ、煮きり醤油の釣り合いは絶妙で申し分なく、久しぶりに美味い鮨を食べたと感じた。まこと人は見かけによらぬものである。「寿司孝」の鮨は繊細で極めて上品な味であり、東京の寿司名店の味をも凌いでいる。時々は訪れてみたい熱海の名店である。

料理
5pt5pt
サービス
4pt4pt
雰囲気
3pt3pt
CP:コストパフォーマンス
3pt3pt
金額

昼 5,000~10,000円

目的
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