太公望への達人のクチコミ
「多摩のラーメン(けやき出版)」という本ではすでに殿堂入りの扱い。旧版で「閉店間際にスープが残ったらただでもらえる」と書いてあった。この時からこの店の出汁でライスカレーを作ってみたいとずっと思っていた。専用のガラス壜まで用意したのになかなか踏み切れなかった。内気な性格なのでせっかく来ても「スープわけてください」とは言えないような気もした。
ふっとなぜか来てしまった。昼間だからガラス壜は持参しなかった。なかなか完成度の高い一杯で、少なくとも多摩地区では抜きん出ている。店主が「原液、飲んでみます」と小皿に元出汁を入れて差し出してくれた。上質のワインのような、フィニッシュという概念で説明できそうな、緻密なテクスチャーを感じた。舌の上に残る(イメージとしての)痕跡に、美的な要素を見出すことができた。たぶんこの店、醤油より塩がいい。
きかっけができたので、店主に尋ねた。
― ただでスープを分けてもらえるとか。
― いまはやってない。だいいち、残らなくなったし。
― 原液と醤油スープに味の開きを感じたが、タレに相当こだわっているのでは。
― たいしたことはやっていないよ。だいたいラーメンにそうそう大きな違いって、あるわけでもないしね。やってることはどの店でもそうは変わらない。つづけられるか、じゃないの。加熱の時間を守るとか、一手一手の大事さというか…
― タレの作り方を教えてくれませんか。
― 水からだよ。ウチは、昆布、あご、煮干、…、…、なんかを使って煮出して、醤油と合わせて炊く。醤油の水位に煮詰まったら、それでおしまい。
― タレを継ぎ足しでやっている店が多いと聞きますが。
― ウチはやっていないね。煮干は継ぎ足しても香りが飛んでしまう。節(ぶし)を前面に出す店ならあるかもしれない。昔、○○○の仕事を見せてもらったけど、マイワシを扱っていた時期だから、相当昔だけど、継ぎ足しをやっていた。
― ○○○でスープの継ぎ足しは。
― それはどうだったかな。あなたラーメン屋さん?
私はラーメン屋をやろうと思っていた時期があった。だが、保証金や家賃を調べた上で、労働時間はどのくらいかとシミュレーションすると、二の足を踏まざるをえなかった。具材の下準備や掃除などを含めて細かく割り出してゆくと、総労働時間が 12 時間以内に収まらなかった。その点を主人に聞くと、答えは「15 時間くらい」であった。最後にそうもうかる商売じゃない、趣味にしたほうがいい、との助言をいただいた。そうなんだよね。でも発作的にやってみたいとまた思うかな。
ふっとなぜか来てしまった。昼間だからガラス壜は持参しなかった。なかなか完成度の高い一杯で、少なくとも多摩地区では抜きん出ている。店主が「原液、飲んでみます」と小皿に元出汁を入れて差し出してくれた。上質のワインのような、フィニッシュという概念で説明できそうな、緻密なテクスチャーを感じた。舌の上に残る(イメージとしての)痕跡に、美的な要素を見出すことができた。たぶんこの店、醤油より塩がいい。
きかっけができたので、店主に尋ねた。
― ただでスープを分けてもらえるとか。
― いまはやってない。だいいち、残らなくなったし。
― 原液と醤油スープに味の開きを感じたが、タレに相当こだわっているのでは。
― たいしたことはやっていないよ。だいたいラーメンにそうそう大きな違いって、あるわけでもないしね。やってることはどの店でもそうは変わらない。つづけられるか、じゃないの。加熱の時間を守るとか、一手一手の大事さというか…
― タレの作り方を教えてくれませんか。
― 水からだよ。ウチは、昆布、あご、煮干、…、…、なんかを使って煮出して、醤油と合わせて炊く。醤油の水位に煮詰まったら、それでおしまい。
― タレを継ぎ足しでやっている店が多いと聞きますが。
― ウチはやっていないね。煮干は継ぎ足しても香りが飛んでしまう。節(ぶし)を前面に出す店ならあるかもしれない。昔、○○○の仕事を見せてもらったけど、マイワシを扱っていた時期だから、相当昔だけど、継ぎ足しをやっていた。
― ○○○でスープの継ぎ足しは。
― それはどうだったかな。あなたラーメン屋さん?
私はラーメン屋をやろうと思っていた時期があった。だが、保証金や家賃を調べた上で、労働時間はどのくらいかとシミュレーションすると、二の足を踏まざるをえなかった。具材の下準備や掃除などを含めて細かく割り出してゆくと、総労働時間が 12 時間以内に収まらなかった。その点を主人に聞くと、答えは「15 時間くらい」であった。最後にそうもうかる商売じゃない、趣味にしたほうがいい、との助言をいただいた。そうなんだよね。でも発作的にやってみたいとまた思うかな。