揚子江への達人のクチコミ
居住地からは、三鷹も吉祥寺も東小金井もほぼ等距離にあるが、小金井を自分のテリトリーに含めて考えたことはほとんどない。虫が多く、蛇が木からぶら下がっている、といった貧困なイメージしか浮かばない。これだけの町のはずはない。いいソーセージ屋があると聞いて、ある日そっちに向かった。太ったチョリソーを調達し、3時すぎで店はどこもみんなしまっているなーと思いながら、自転車であっちこっちの角を曲がり、ちょっと引っ込んだ立地に、営業中の札を見つけた。それがこの「揚子江」だ。揚子江といえば神保町界隈に有名な店がある。書体が似ていて、なんとなく流れをくんでいるようにも思えた。
テーブルはたしか一つだけ、独り客はカウンターになる。せいぜい四人程度だろう。いろんな意味で「密」な店。親密、秘密…まあ密にもいろいろある。隣の隣に、出来上がったおっさんがいて、べちゃべちゃしゃべっている。(なんか嫌な予感が…)カラス、すずめ、野鳥の類(鶴?だったか)、犬、そのほかさまざまな虫がぞろぞろ出るわ出るわ、こういうのをみんな食べものにひっかけちゃう。で、ぜんぜん止まらない。注文の「辛い麺」が届いて、エンジンがおかしくならないかっていうくらいにこの「特別快速」のスピードが上がった。(ねらってやがるな、この親爺…)そう気づいて何食わぬ顔をしつつ麺を頬張る。食べ終わると、思った通り、秋の風物詩に話題を方向転換しやんの、このおっさん。(あったまにくるワー、急におとなしくなるとは…)。これだけの悪条件で、多少の雑味をものともせずに食べさせてくれる、揚子江店主の腕前はたいしたものだ。
で、さっそく裏を返してみる。今度も三時すぎで、料理人はテーブル席にどっかと腰を下ろし、薄型液晶画面に見入っていた。町の中華屋には違いないが、店全体が黒塗りで、中も黒一色に統一され、なかなかシックにまとめらていて、最新型のテレビも浮いていない。料理人は「いらっしゃい」の後、いったん外に出て、調理場に入った。動線としては、ヘアピンカーブ。客席から調理場には直接入れないのだ。(謎のU字曲線の意味は…)
チャーハンができた。カランカラン、からころからから、シャリリシャリシャリ、いろいろな音がいい具合に混ざる、耳で聞こえる味?なんかブラームスの室内楽曲みたいに癒される鍋振りのテク。味もその通りで、チャーシュー2種(あるいは一方はハム)、卵、葱をこまかくご飯に切り混ぜて、一体感を狙うというタイプ。てっぺんには小えびをトッピングしている。飾りといえば飾りだが、基本の油に海老の風味がある。たぶんそれは自家製で、魚貝系の風味を店で供する料理の全部に隠し味で入れようという意図がある。寸胴は中華屋としてはかなり小さめ。そのなかでガラをはじめとした素材が気持ちよく浮き沈みしている。ナチュラルな褐色で、透明度が高く、わずかな濁りがあり、抑えがきいた味だ。「隠し技をふんだんに持っていそうで、それを表立って見せようとしない料理人の店」ということができる。
揚子江へのその他のクチコミ
昼 1,000円以下
夜 1,000円以下
テーブルはたしか一つだけ、独り客はカウンターになる。せいぜい四人程度だろう。いろんな意味で「密」な店。親密、秘密…まあ密にもいろいろある。隣の隣に、出来上がったおっさんがいて、べちゃべちゃしゃべっている。(なんか嫌な予感が…)カラス、すずめ、野鳥の類(鶴?だったか)、犬、そのほかさまざまな虫がぞろぞろ出るわ出るわ、こういうのをみんな食べものにひっかけちゃう。で、ぜんぜん止まらない。注文の「辛い麺」が届いて、エンジンがおかしくならないかっていうくらいにこの「特別快速」のスピードが上がった。(ねらってやがるな、この親爺…)そう気づいて何食わぬ顔をしつつ麺を頬張る。食べ終わると、思った通り、秋の風物詩に話題を方向転換しやんの、このおっさん。(あったまにくるワー、急におとなしくなるとは…)。これだけの悪条件で、多少の雑味をものともせずに食べさせてくれる、揚子江店主の腕前はたいしたものだ。
で、さっそく裏を返してみる。今度も三時すぎで、料理人はテーブル席にどっかと腰を下ろし、薄型液晶画面に見入っていた。町の中華屋には違いないが、店全体が黒塗りで、中も黒一色に統一され、なかなかシックにまとめらていて、最新型のテレビも浮いていない。料理人は「いらっしゃい」の後、いったん外に出て、調理場に入った。動線としては、ヘアピンカーブ。客席から調理場には直接入れないのだ。(謎のU字曲線の意味は…)
チャーハンができた。カランカラン、からころからから、シャリリシャリシャリ、いろいろな音がいい具合に混ざる、耳で聞こえる味?なんかブラームスの室内楽曲みたいに癒される鍋振りのテク。味もその通りで、チャーシュー2種(あるいは一方はハム)、卵、葱をこまかくご飯に切り混ぜて、一体感を狙うというタイプ。てっぺんには小えびをトッピングしている。飾りといえば飾りだが、基本の油に海老の風味がある。たぶんそれは自家製で、魚貝系の風味を店で供する料理の全部に隠し味で入れようという意図がある。寸胴は中華屋としてはかなり小さめ。そのなかでガラをはじめとした素材が気持ちよく浮き沈みしている。ナチュラルな褐色で、透明度が高く、わずかな濁りがあり、抑えがきいた味だ。「隠し技をふんだんに持っていそうで、それを表立って見せようとしない料理人の店」ということができる。