銀座一丁目、銀座らしい賑わいから人足が少し外れる「境界」近く、昭和通沿いの一角にたたずむタンドール料理専門店
カイバル。
カレー地帯激戦区のひとつである銀座界隈で、人気店・北インド料理
グルガオン、京橋にある実力店・南インド料理
ダバ・インディアを手掛ける会社が巧妙に仕掛けた戦略が、2006年11月に満を持してオープンした、このグループ3店目となるタンドール料理専門の
カイバルである。銀座にひしめく競合店やグループ姉妹店との差別化という観点での店のコンセプトは、きわめて明瞭だ。本場のタンドリー・チキンをはじめ、シークカバブや各種タンドール料理がメインであり、カレーはあくまでサブであって、提供する品目は絞り込み、副次的なメニュー・アイテムに過ぎないとまで言い切る。その意味では、都内初、いや、日本初の「タンドール料理専門店」誕生へのチャレンジだ。
ほう、では見せてもらおうか。その実力とやらを。と、当時感じたインドカレーフリークの方は多いはずだ。何故か?
昨今のインド・ブームが追い風となっているという背景はあるにせよ、消費者の間には、中華料理のように地方料理(例:北京・上海・広東・四川料理など)の違いが一般に定着している訳ではなく、インド料理全般に限って言うならば、実態として、圧倒的に北インド系(パンジャブ料理、ムグライ宮廷料理系統の店)の店が全体の9割を占めている中で、さらにそのサブ・カテゴリで、メイン・サブを逆転させたメニュー・アイテムで店のウリを差別化して訴求しようという試みに果たして死角はないのだろうか。要は、マーケティング的に最大の標的セグメントに参入するのは無難なアプローチ方法のひとつとしてOK、本来であれば、「焼き物」類がサブで、豊富なバラエティーに富む多くの種類のカレー料理を、おいしくふっくらと焼き上げたナンとともにメインで提供するのが日本でインド料理店を成功裡に展開する上での通常のセオリーであると思う。が、反面、この定石コンセプトでは、従来の北インド系の店となんら変わらない内容になってしまう。しかも、数ブロック先には銀座の中心地に北インド系料理のコンセプトで人気を博している
グルガオンをすでに展開している。新宿や池袋で、それなりの平均的な味と低価格を武器に隣接・多店舗展開をしているチェーン・グループSやGIなどとは、少なくとも同じビジネス・モデルを考えているとは思えない。
2つ目の着目点は、何だろうか。
カイバルの真骨頂であり、最大のセールスポイントは、本場さながらのレベルの高い各種タンドール料理と、こうしたインディアン・バーベキューの肉類、ウェジ類に合わせる豊富な種類を揃えたというワインとの組み合わせによる新しいインド料理の楽しみ方の提案である。
本場の純インドカレー料理にワインを合わせるという組み合わせは、従来の常識的な価値観からすれば、オーソドックスではない考え方である。各種スパイスをふんだんに用いたカレーに、ブドウの個々の品種がもつ自然で繊細な味わい、上品な香りと芳醇でふくよかな余韻を楽しむワインとは、お互いがお互いの味わいの個性や香りを打ち消してしまうために、本来は料理の組み合わせとしては難しいはずである。とは言え、都内のインド料理屋には、一般にビールもワインもごく当たり前に提供しているが、こうした価値観や味覚の議論以前に、そもそも客側の需要があるから、店にとっては商業主義的に売上の一部になるからという需要と供給の関係がその背後にある。本家大元のインドには、スパイス料理とワインは合わないという、紀元前にさかのぼる先人の長い生活経験上の知恵もあるのだろうが(*古代インドでは、南インドや西インドの海岸地域では、海のシルクロードを通じて、ギリシアやローマとの胡椒交易が古くから開けていた)、それに加えて宗教上の理由から、普段の食事にアルコール類の飲酒は一般的でない。現在でも、ヒンドゥの聖地とされる都市、例えば北インドのハリドワールやリシケシュといった町では、現地の一般的なレストラン・食堂は厳格にノン・アルコール、ピュア・ベジタリアン(純菜食主義料理)を提供している。(*ただし、外国人旅行客しか行かないようなホテルやレストランでは一部例外はある)
しからば、「カレー」にワインを合わせるという組み合わせは、個人の味覚の趣味や価値観の範疇の話になるので、それらを敢えて否定する訳ではないが、「カレー」にではなく、店のメインのウリである「焼き物」を中心とした料理にワインをマリアージュさせるということを前面に押し出したコンセプトで捉えるならば、消費者にとっては、従来の発想には囚われない新しいインド料理の食事の楽しみ方であって面白いかもしれない。私見ではあるが、成熟化した都内の外食産業で昨今、勢いづいているのは、スペイン・バルである。手ごろな価格帯のリオハの赤に、イベリコ豚の生ハムの切り落としと、つまみのピンチョスで気の置けない仲間と一杯楽しむスタイルが流行している。
カイバルの提唱する「焼き物」&「ワイン」の組み合わせは、この「スペイン・バル」スタイルをインド料理版にアレンジしたものと感じるのは私だけだろうか。
で、それはさておき、肝心な料理はどのようになっているのだろうか。2006年11月のオープン以来、ランチ・ディナーともに数回づつ、計6-7回は訪問したので、その中からいくつかレポートしてみたい。
【ランチタイム訪問:平日】
2006年11月オープン当初のメニュー構成および価格設定が見直され、現在は、下記のように改定されている。
A: 本日のカレー(日替わり3種から1種)900円
B: 3色カレー(日替わり3種)1,100円
C: タンドーリチキンセット(日替わりカレー1種、骨なしチキンティッカ2種と野菜のグリル)1,300円
D: タンドーリヴェジセット(日替わりカレー1種、詰め物をしたポテト、カリフラワー、トマトのグリル)1,300円
E: カイバルスペシャル(日替わりカレー3種、骨なしチキンティッカ2種、シークカバブ、海老)1,500円
すべてのメニューにミニナンとサフランライス付き。(*ライス大盛り無料、プラス100円でミニナンはチーズクルチャ、カブリナンに変更可能)
で、この日オーダーしたのは、C:タンドーリチキンセット1,300円。カレー1種は、大豆に似た「ロビア豆」を使ったダル・カレーを選択した。ランチで提供されるナンは小振りであることは知っているので、これとは別に「ルーマリ・ロティ」(1枚360円)を1枚追加する。この小麦の薄力粉を塩と少量の水で捏ねて焼いた素朴なロティは私のお気に入りで、ティッカなどを巻いて食べるのに相性がいい。ハンカチのように薄いので、ナンをおかわりしたときのような食べ過ぎにならず、ちょうどよいのだ。
暫くして、ターリー盆に小ポーションの豆カレー、ミニ・サフランライス、ミニ・ナンと大根とタマネギ、ニンジンの薄切りマリネが添えられて、別の皿にチキンティッカ2種と焼きトマトがスライス・レモン、ミント・ソースを添えた状態で運ばれてきた。ティッカは、通常のタンドリー・マサラに漬け込んだ赤橙色の骨なしチキン2片と、マライ・ティッカのようにヨーグルトに漬け込んだような白いガーリック・チキンティッカ2片が付いてくる。「ルーマリ・ロティ」にティッカと付けあわせのグリーン・サラダを巻いて、ミントソースをつけ、大口開けて頬張ると格別のうまさだ。ダル・カレーはミニ・サフランライスにかけたり、ナンにつけて食べた。記憶によれば、以前は確か、ジャポニカ米のサフランライスではなく、白いバスマティ・ライスを出していたはず。ナンは変わらず、小振りであるが、もっちりと柔らかく充分に食べ応えがある。食後は、マサラチャイ(200円)を追加して、会計はしめて1,860円。オープン当初から
カイバルのホール接客を勤めるスタッフの平氏に最近の様子などを伺ってみた。ランチの客入りは半分くらい。今日のように月曜はやや少なめという。グルメ誌やメディアからも取材で取り上げられており、最近では、平日夜はほぼ満席状態だそうだ。やはり、ディナータイムが店の一番のかき入れ時のようだ。
ランチの価格帯もオープン当初は、姉妹店の
ダバ・インディアがカレー1種セットが800円から提供しているのに比べ、
カイバルでは1,300円相当、あるいは、タンドリー・チキン1本付きセットで1,600円と客単価としては割高に感じられたが、価格設定を見直して、上述のようなランチ・メニュー構成にしたとのこと。
【kiewpieくん評価:ランチ☆☆☆】
ランチの評価であるが、他店に比べ、充実しているティッカ類の「焼き物」を、例えばルーマリ・ロティとともに充分に楽しみたいと思う向きには再訪の価値はあるだろう。ただし、ランチのカレー、サフランライス、ナンといったアイテムだけを目当てにするのであれば、姉妹店の
グルガオンもしくは
ダバ・インディアに行くことをお勧めする。その2店舗とも昼時のOLやサラリーマンの行列を見れば、お手ごろ価格とそれに充分見合う内容であることが容易に想像できると思う。
【ディナータイム訪問:平日夜】
平日の夜に、会社の同僚と2名で訪問。
まずは、中ジョッキのビールを飲みつつ、オーダーを考える。やはり、外せないのはこの店の看板「カイバル・タンドリー・チキン」(鶏もも肉1本1,370円)だろう。マサラの漬け込み具合、タンドールでの焼き加減において、絶妙である。やや大振りな鶏もも肉1本を4つにカットした状態でサーブされる。スターターとして他にも、「シークカバブ・ハリミルチ」(2ピースで1,260円)を追加した。通常のシークカバブでも充分にうまいが、ここはひとつ、生の青唐辛子とカシューナッツ入りで香辛料の辛味を追求した特製シークカバブを楽しみたい。もちろん、カバブ類のお供は、薄力粉を塩と少量の水で捏ねて鉄板で焼いた「ルーマリ・ロティ」(1枚360円)は、外せない。
この「ルーマリ・ロティ」が実に「焼き物」類と相性がいい。小麦の薄力粉と塩と少量の水だけで捏ねて、大きな中華鍋をひっくり返したような鉄板に薄く伸ばして焼いた素朴なロティだ。白いハンカチのように四つ折の状態でサーブされる。これを適当な大きさにちぎり、マクドナルドの「マック・ラップ」のように、ティッカだの、シークカバブだの、グリル野菜を包み込み、ミントソースを少量かけて頬張ると格別のうまさだ。これにマサラを振りかけた生のスライス・オニオンや青唐辛子をかじりつつ、頂く。まさにこれぞ
カイバルの得意とする「焼き物」料理の醍醐味だ。
次に、野菜も摂取しなくてはと、「チャナダルサラダ」(530円)と「なすの冷製イマーム風」(2ピース:620円)も追加。インド産白ワインもフル・ボトルでオーダーした。(*白ワインは銘柄とブドウの品種を失念しておりました。スミマセン)
で、この「なすの冷製イマーム風」が素晴らしく、とくに印象に残る一品だ。翌日、ネットで調べると、どうやらオリジナルはトルコ料理らしい。地中海料理、あるいはシチリア料理にも通じるものがありそうで、当然、白ワインとも相性がいい。おそらく、ニンニクオイルで炒めたみじん切りのタマネギ、トマトを二つ切りに切り込みをしたナスの中に詰めて、野菜の煮汁とともに蒸し煮にしたものだろう。野菜の滋味深い旨みが充分に引き出されている。
最後は、「ビンディーマサラ」(オクラとマッシュルームのトマトベースのカレー、青唐辛子トッピング:1,370円)に「タンドリー・ロティ」(1枚420円)を2人でシェアした。かなり満腹状態で会計は、1万2,000円ほど。
【kiewpieくん評価:ディナー☆☆☆☆☆】
通常の「タンドリー・チキン」や「シークカバブ」以外にも大皿料理である「カイバル・ノンヴェジプレート」(チキンティッカ2種、ラム焼き、海老焼きのセットで1人前@1,200円でオーダーは2人前から)や「カイバル・ヴェジプレート」(自家製パニール(チーズ)、カリフラワー、ポテト、オニオン、トマトなどのグリル野菜のセットで1人前@1,000円でオーダーは2人前から)などがあり、大人数で料理をシェアするといろいろな「焼き物」を楽しめる。ボリュームがあるため、「焼き物」類はそれだけで食べるか、「ルーマリ・ロティ」(1枚360円)のようなお腹にたまらないものをお勧めする。
ここまででビールやワインの杯を重ねると、女性の場合、分量的に充分かもしれない。
男性でも、この後、「本日のビリヤニ」(フル1人前:1,580円で小ポーションのライタ付き、ハーフサイズ950円もある)や各種カレー&ナンを追加すると、かなり満腹のはず。
会計は食事+飲みを含めてひとり7,000円前後だろう。
最後に店舗について紹介。
都内のインド料理店の内装としては、天井が高く座席も50席以上とゆったりめである。南欧風あるいは、クッションカバーなども置いてあり、オリエンタル調で小綺麗な感じであり、彼女とのディナータイムのデートといった用途にも充分、違和感がないだろう。
結構な人気店なので、平日夜は予約をしてから行くことをお勧めする。フリーで予約なしに入るのであれば、19:00前、18:45くらいまでに入店してGood Luckを試してみるのもいいだろう。
サラリーマンの場合、会社絡みの付き合いや幹事役を仰せつかることも多い。こんなとき、飲めて、美味しいタンドール料理を存分に楽しめて、銀座というロケーションの
カイバルは貴重であり、ぜひ手帳のグルメ・リストに追加しておきたい一店だ。
私も
カイバルの目論む意図と狙いにまんまとハメられたような気がします。読者の方々もぜひ一度体験してはいかがだろうか。
カレー地帯激戦区のひとつである銀座界隈で、人気店・北インド料理グルガオン、京橋にある実力店・南インド料理ダバ・インディアを手掛ける会社が巧妙に仕掛けた戦略が、2006年11月に満を持してオープンした、このグループ3店目となるタンドール料理専門のカイバルである。銀座にひしめく競合店やグループ姉妹店との差別化という観点での店のコンセプトは、きわめて明瞭だ。本場のタンドリー・チキンをはじめ、シークカバブや各種タンドール料理がメインであり、カレーはあくまでサブであって、提供する品目は絞り込み、副次的なメニュー・アイテムに過ぎないとまで言い切る。その意味では、都内初、いや、日本初の「タンドール料理専門店」誕生へのチャレンジだ。
ほう、では見せてもらおうか。その実力とやらを。と、当時感じたインドカレーフリークの方は多いはずだ。何故か?
昨今のインド・ブームが追い風となっているという背景はあるにせよ、消費者の間には、中華料理のように地方料理(例:北京・上海・広東・四川料理など)の違いが一般に定着している訳ではなく、インド料理全般に限って言うならば、実態として、圧倒的に北インド系(パンジャブ料理、ムグライ宮廷料理系統の店)の店が全体の9割を占めている中で、さらにそのサブ・カテゴリで、メイン・サブを逆転させたメニュー・アイテムで店のウリを差別化して訴求しようという試みに果たして死角はないのだろうか。要は、マーケティング的に最大の標的セグメントに参入するのは無難なアプローチ方法のひとつとしてOK、本来であれば、「焼き物」類がサブで、豊富なバラエティーに富む多くの種類のカレー料理を、おいしくふっくらと焼き上げたナンとともにメインで提供するのが日本でインド料理店を成功裡に展開する上での通常のセオリーであると思う。が、反面、この定石コンセプトでは、従来の北インド系の店となんら変わらない内容になってしまう。しかも、数ブロック先には銀座の中心地に北インド系料理のコンセプトで人気を博しているグルガオンをすでに展開している。新宿や池袋で、それなりの平均的な味と低価格を武器に隣接・多店舗展開をしているチェーン・グループSやGIなどとは、少なくとも同じビジネス・モデルを考えているとは思えない。
2つ目の着目点は、何だろうか。カイバルの真骨頂であり、最大のセールスポイントは、本場さながらのレベルの高い各種タンドール料理と、こうしたインディアン・バーベキューの肉類、ウェジ類に合わせる豊富な種類を揃えたというワインとの組み合わせによる新しいインド料理の楽しみ方の提案である。
本場の純インドカレー料理にワインを合わせるという組み合わせは、従来の常識的な価値観からすれば、オーソドックスではない考え方である。各種スパイスをふんだんに用いたカレーに、ブドウの個々の品種がもつ自然で繊細な味わい、上品な香りと芳醇でふくよかな余韻を楽しむワインとは、お互いがお互いの味わいの個性や香りを打ち消してしまうために、本来は料理の組み合わせとしては難しいはずである。とは言え、都内のインド料理屋には、一般にビールもワインもごく当たり前に提供しているが、こうした価値観や味覚の議論以前に、そもそも客側の需要があるから、店にとっては商業主義的に売上の一部になるからという需要と供給の関係がその背後にある。本家大元のインドには、スパイス料理とワインは合わないという、紀元前にさかのぼる先人の長い生活経験上の知恵もあるのだろうが(*古代インドでは、南インドや西インドの海岸地域では、海のシルクロードを通じて、ギリシアやローマとの胡椒交易が古くから開けていた)、それに加えて宗教上の理由から、普段の食事にアルコール類の飲酒は一般的でない。現在でも、ヒンドゥの聖地とされる都市、例えば北インドのハリドワールやリシケシュといった町では、現地の一般的なレストラン・食堂は厳格にノン・アルコール、ピュア・ベジタリアン(純菜食主義料理)を提供している。(*ただし、外国人旅行客しか行かないようなホテルやレストランでは一部例外はある)
しからば、「カレー」にワインを合わせるという組み合わせは、個人の味覚の趣味や価値観の範疇の話になるので、それらを敢えて否定する訳ではないが、「カレー」にではなく、店のメインのウリである「焼き物」を中心とした料理にワインをマリアージュさせるということを前面に押し出したコンセプトで捉えるならば、消費者にとっては、従来の発想には囚われない新しいインド料理の食事の楽しみ方であって面白いかもしれない。私見ではあるが、成熟化した都内の外食産業で昨今、勢いづいているのは、スペイン・バルである。手ごろな価格帯のリオハの赤に、イベリコ豚の生ハムの切り落としと、つまみのピンチョスで気の置けない仲間と一杯楽しむスタイルが流行している。カイバルの提唱する「焼き物」&「ワイン」の組み合わせは、この「スペイン・バル」スタイルをインド料理版にアレンジしたものと感じるのは私だけだろうか。
で、それはさておき、肝心な料理はどのようになっているのだろうか。2006年11月のオープン以来、ランチ・ディナーともに数回づつ、計6-7回は訪問したので、その中からいくつかレポートしてみたい。
【ランチタイム訪問:平日】
2006年11月オープン当初のメニュー構成および価格設定が見直され、現在は、下記のように改定されている。
A: 本日のカレー(日替わり3種から1種)900円
B: 3色カレー(日替わり3種)1,100円
C: タンドーリチキンセット(日替わりカレー1種、骨なしチキンティッカ2種と野菜のグリル)1,300円
D: タンドーリヴェジセット(日替わりカレー1種、詰め物をしたポテト、カリフラワー、トマトのグリル)1,300円
E: カイバルスペシャル(日替わりカレー3種、骨なしチキンティッカ2種、シークカバブ、海老)1,500円
すべてのメニューにミニナンとサフランライス付き。(*ライス大盛り無料、プラス100円でミニナンはチーズクルチャ、カブリナンに変更可能)
で、この日オーダーしたのは、C:タンドーリチキンセット1,300円。カレー1種は、大豆に似た「ロビア豆」を使ったダル・カレーを選択した。ランチで提供されるナンは小振りであることは知っているので、これとは別に「ルーマリ・ロティ」(1枚360円)を1枚追加する。この小麦の薄力粉を塩と少量の水で捏ねて焼いた素朴なロティは私のお気に入りで、ティッカなどを巻いて食べるのに相性がいい。ハンカチのように薄いので、ナンをおかわりしたときのような食べ過ぎにならず、ちょうどよいのだ。
暫くして、ターリー盆に小ポーションの豆カレー、ミニ・サフランライス、ミニ・ナンと大根とタマネギ、ニンジンの薄切りマリネが添えられて、別の皿にチキンティッカ2種と焼きトマトがスライス・レモン、ミント・ソースを添えた状態で運ばれてきた。ティッカは、通常のタンドリー・マサラに漬け込んだ赤橙色の骨なしチキン2片と、マライ・ティッカのようにヨーグルトに漬け込んだような白いガーリック・チキンティッカ2片が付いてくる。「ルーマリ・ロティ」にティッカと付けあわせのグリーン・サラダを巻いて、ミントソースをつけ、大口開けて頬張ると格別のうまさだ。ダル・カレーはミニ・サフランライスにかけたり、ナンにつけて食べた。記憶によれば、以前は確か、ジャポニカ米のサフランライスではなく、白いバスマティ・ライスを出していたはず。ナンは変わらず、小振りであるが、もっちりと柔らかく充分に食べ応えがある。食後は、マサラチャイ(200円)を追加して、会計はしめて1,860円。オープン当初からカイバルのホール接客を勤めるスタッフの平氏に最近の様子などを伺ってみた。ランチの客入りは半分くらい。今日のように月曜はやや少なめという。グルメ誌やメディアからも取材で取り上げられており、最近では、平日夜はほぼ満席状態だそうだ。やはり、ディナータイムが店の一番のかき入れ時のようだ。
ランチの価格帯もオープン当初は、姉妹店のダバ・インディアがカレー1種セットが800円から提供しているのに比べ、カイバルでは1,300円相当、あるいは、タンドリー・チキン1本付きセットで1,600円と客単価としては割高に感じられたが、価格設定を見直して、上述のようなランチ・メニュー構成にしたとのこと。
【kiewpieくん評価:ランチ☆☆☆】
ランチの評価であるが、他店に比べ、充実しているティッカ類の「焼き物」を、例えばルーマリ・ロティとともに充分に楽しみたいと思う向きには再訪の価値はあるだろう。ただし、ランチのカレー、サフランライス、ナンといったアイテムだけを目当てにするのであれば、姉妹店のグルガオンもしくはダバ・インディアに行くことをお勧めする。その2店舗とも昼時のOLやサラリーマンの行列を見れば、お手ごろ価格とそれに充分見合う内容であることが容易に想像できると思う。
【ディナータイム訪問:平日夜】
平日の夜に、会社の同僚と2名で訪問。
まずは、中ジョッキのビールを飲みつつ、オーダーを考える。やはり、外せないのはこの店の看板「カイバル・タンドリー・チキン」(鶏もも肉1本1,370円)だろう。マサラの漬け込み具合、タンドールでの焼き加減において、絶妙である。やや大振りな鶏もも肉1本を4つにカットした状態でサーブされる。スターターとして他にも、「シークカバブ・ハリミルチ」(2ピースで1,260円)を追加した。通常のシークカバブでも充分にうまいが、ここはひとつ、生の青唐辛子とカシューナッツ入りで香辛料の辛味を追求した特製シークカバブを楽しみたい。もちろん、カバブ類のお供は、薄力粉を塩と少量の水で捏ねて鉄板で焼いた「ルーマリ・ロティ」(1枚360円)は、外せない。
この「ルーマリ・ロティ」が実に「焼き物」類と相性がいい。小麦の薄力粉と塩と少量の水だけで捏ねて、大きな中華鍋をひっくり返したような鉄板に薄く伸ばして焼いた素朴なロティだ。白いハンカチのように四つ折の状態でサーブされる。これを適当な大きさにちぎり、マクドナルドの「マック・ラップ」のように、ティッカだの、シークカバブだの、グリル野菜を包み込み、ミントソースを少量かけて頬張ると格別のうまさだ。これにマサラを振りかけた生のスライス・オニオンや青唐辛子をかじりつつ、頂く。まさにこれぞカイバルの得意とする「焼き物」料理の醍醐味だ。
次に、野菜も摂取しなくてはと、「チャナダルサラダ」(530円)と「なすの冷製イマーム風」(2ピース:620円)も追加。インド産白ワインもフル・ボトルでオーダーした。(*白ワインは銘柄とブドウの品種を失念しておりました。スミマセン)
で、この「なすの冷製イマーム風」が素晴らしく、とくに印象に残る一品だ。翌日、ネットで調べると、どうやらオリジナルはトルコ料理らしい。地中海料理、あるいはシチリア料理にも通じるものがありそうで、当然、白ワインとも相性がいい。おそらく、ニンニクオイルで炒めたみじん切りのタマネギ、トマトを二つ切りに切り込みをしたナスの中に詰めて、野菜の煮汁とともに蒸し煮にしたものだろう。野菜の滋味深い旨みが充分に引き出されている。
最後は、「ビンディーマサラ」(オクラとマッシュルームのトマトベースのカレー、青唐辛子トッピング:1,370円)に「タンドリー・ロティ」(1枚420円)を2人でシェアした。かなり満腹状態で会計は、1万2,000円ほど。
【kiewpieくん評価:ディナー☆☆☆☆☆】
通常の「タンドリー・チキン」や「シークカバブ」以外にも大皿料理である「カイバル・ノンヴェジプレート」(チキンティッカ2種、ラム焼き、海老焼きのセットで1人前@1,200円でオーダーは2人前から)や「カイバル・ヴェジプレート」(自家製パニール(チーズ)、カリフラワー、ポテト、オニオン、トマトなどのグリル野菜のセットで1人前@1,000円でオーダーは2人前から)などがあり、大人数で料理をシェアするといろいろな「焼き物」を楽しめる。ボリュームがあるため、「焼き物」類はそれだけで食べるか、「ルーマリ・ロティ」(1枚360円)のようなお腹にたまらないものをお勧めする。
ここまででビールやワインの杯を重ねると、女性の場合、分量的に充分かもしれない。
男性でも、この後、「本日のビリヤニ」(フル1人前:1,580円で小ポーションのライタ付き、ハーフサイズ950円もある)や各種カレー&ナンを追加すると、かなり満腹のはず。
会計は食事+飲みを含めてひとり7,000円前後だろう。
最後に店舗について紹介。
都内のインド料理店の内装としては、天井が高く座席も50席以上とゆったりめである。南欧風あるいは、クッションカバーなども置いてあり、オリエンタル調で小綺麗な感じであり、彼女とのディナータイムのデートといった用途にも充分、違和感がないだろう。
結構な人気店なので、平日夜は予約をしてから行くことをお勧めする。フリーで予約なしに入るのであれば、19:00前、18:45くらいまでに入店してGood Luckを試してみるのもいいだろう。
サラリーマンの場合、会社絡みの付き合いや幹事役を仰せつかることも多い。こんなとき、飲めて、美味しいタンドール料理を存分に楽しめて、銀座というロケーションのカイバルは貴重であり、ぜひ手帳のグルメ・リストに追加しておきたい一店だ。
私もカイバルの目論む意図と狙いにまんまとハメられたような気がします。読者の方々もぜひ一度体験してはいかがだろうか。