なまはげへの達人のクチコミ
この日は、社内のややこぢんまりとした、忘年会があった。
こぢんまりといっても、20名以上のもので、お店をほぼ貸し切っての物なのだが、お偉方が、いらっしゃらない分、内輪的な親近感の持てるものであった。
忘年会の食事というと、一般に、不味いもの、との印象が強い。
私も、あまり期待はしていなかった。
場所は、藤沢駅南口近くの、「なまはげ」。
名前の通り、秋田料理のお店である。
この手の、東京近郊の郷土料理の店というのは、不味い、高い、せこい、という事が、少なく無い。当初、こちらで忘年会をやると聞き、更に、飲み放題で6000円という値段設定を知った時には、
「全く、変な店取りやがって、その辺のチェーン店居酒屋で十分なんだよ!」
と思ったものだった。当然予定としても、会費を払って、適当に過ごしたら、あとはさっさとずらかろう、と考えていた。
店はある雑居ビルの3階にある。
外観をみただけで、うんざりするようなビルである。入っている店舗にも看板を一瞥する限り、期待出来る物はない。
やりきれない気分で、指定の店をめざす。
エレベーターで3階に上がると、やや奥まった所に、縄のれんの下がった民芸調の店の入り口があった。
予想外に、いい感じである。引き戸を開け、店に入ると、中央には大きな囲炉裏があり、串に刺さった、大きな鰰(ハタハタ)が炙られ、炭火と焼き魚の香ばしい温かさに包まれる。
テーブルの上には、盛り沢山のお刺身、とんぶりのたくさん盛られた前菜、などが既に並んでいる。
もしかすると、これは!
妙な期待と不安がが募る。
実は、たいした事がないだろうと踏んでいた私は、店に入る前に既に、妻に電話を入れ、早々に帰るから他の店に行こうと、約束していたのだった。
これは、ヤバイかもしれない、予想以上に旨そうだ・・・・
いや、格好だけだ、雰囲気だけ。味はたいした事が無いに決まっている。だいたい6000円だぞ、6000円。それも飲み放題! そんな値段でこれだけの物が頂ける訳が無いじゃないか。
そう、言い聞かせて、早々にずらかるべく会に臨んだ。
前菜。のびる?とか言う名の何らかの植物の根を和え物があった。ラッキョウやエシャロットに似た風味なのだが、断然こちらの方が好みである。真冬の雪深くに生息し、雪を掘り起こして採取するらしい。
店の御主人は、その都度、食物やお酒の説明をして下さるのだが、やはり秋田の方らしく、やや訛が強く、よく聞き取れない。
のびるの他、こんにゃくに似た外観でありながら、食感はワラビ餅の様で、味は海ぶどうのような淡白な海藻風のものもあった。これと山芋千切りの入った器にとんぶりが惜しげ無く載せられている。お醤油をかけて混ぜて頂く。旨い。あのこんにゃく様の名前が聞き取れなかったのが残念である。
お刺身も、ヒラメ、甘エビ、雲丹、紅鮭など豊富で身も大きく新鮮である。
そうしているうちに囲炉裏で炙られていた、鰰が届く。
子持ちである。子持ち鰰の焼き物は、生まれて初めてである。
焼かれた鰰の卵はトロロの様な粘り気をもち、一見ホラー映画の粘液風なのだが、口にするとその粘り気と、卵本来のプチプチとした感触が絶妙に調和し、むしろ心地よい。そして美味しい。
大袈裟な言い方だが、キャビアの山かけ、といった贅沢感がある。(そのような物は食した事が無いが)
もちろん鰰の身も美味しい。頭から骨まで食べられる。
もったいない事に、そこを残す輩もいる。当然、残飯処理を買って出た。
丁度私が座った席が、囲炉裏で魚を焼く御主人の近くということもあったのだろうか、そして、私が酒好きと見抜かれたのだろうか、御主人は、やたらとお酒を薦めてくる。高清水の限定酒(正確な名前は忘れてしまった)を冷やで頂く。
3,4合は入るのではないかと思われる水差しのような器に、これも惜しげ無く一升瓶からドボドボと酒が移される。
もちろん数名でこれを注ぎ合って飲むのだが、幸か不幸か私の周りにはお酒を頂かない人ばかりだったので、ほとんど私が頂いてしまった。
秋田料理といえば、「きりたんぽ」は外せない。
もちろん、これも頂いた。鶏の出汁が効いてて、また、煮込んでもあまり型くずれの無いきりたんぽでありながら、しっかり、出汁が浸透し、実に美味しい。
この段階でまだ一時間も経っていないのだが、既に、もう、大満足。
囲炉裏をみると、また御主人が何かを焼かれ始めた。
光沢のある、大きな烏賊である。
そのままお刺身にしても食べられるそうであるが、そのまま丸焼きにした方が美味しいらしい。
内臓も取らずにそのまま焼かれる。
届いた烏賊は、肉厚で柔らかく、また脇に添えられた内臓の、イカスミも混じった黒々としたヌタが、いい苦みを出していて、酒飲みには堪らない。日本酒がどんどん進む。
気付いたら、妻との約束時間は、とうに過ぎている。
ごめん、妻。
今度、「なまはげ」にお連れするから、許して。orz
こぢんまりといっても、20名以上のもので、お店をほぼ貸し切っての物なのだが、お偉方が、いらっしゃらない分、内輪的な親近感の持てるものであった。
忘年会の食事というと、一般に、不味いもの、との印象が強い。
私も、あまり期待はしていなかった。
場所は、藤沢駅南口近くの、「なまはげ」。
名前の通り、秋田料理のお店である。
この手の、東京近郊の郷土料理の店というのは、不味い、高い、せこい、という事が、少なく無い。当初、こちらで忘年会をやると聞き、更に、飲み放題で6000円という値段設定を知った時には、
「全く、変な店取りやがって、その辺のチェーン店居酒屋で十分なんだよ!」
と思ったものだった。当然予定としても、会費を払って、適当に過ごしたら、あとはさっさとずらかろう、と考えていた。
店はある雑居ビルの3階にある。
外観をみただけで、うんざりするようなビルである。入っている店舗にも看板を一瞥する限り、期待出来る物はない。
やりきれない気分で、指定の店をめざす。
エレベーターで3階に上がると、やや奥まった所に、縄のれんの下がった民芸調の店の入り口があった。
予想外に、いい感じである。引き戸を開け、店に入ると、中央には大きな囲炉裏があり、串に刺さった、大きな鰰(ハタハタ)が炙られ、炭火と焼き魚の香ばしい温かさに包まれる。
テーブルの上には、盛り沢山のお刺身、とんぶりのたくさん盛られた前菜、などが既に並んでいる。
もしかすると、これは!
妙な期待と不安がが募る。
実は、たいした事がないだろうと踏んでいた私は、店に入る前に既に、妻に電話を入れ、早々に帰るから他の店に行こうと、約束していたのだった。
これは、ヤバイかもしれない、予想以上に旨そうだ・・・・
いや、格好だけだ、雰囲気だけ。味はたいした事が無いに決まっている。だいたい6000円だぞ、6000円。それも飲み放題! そんな値段でこれだけの物が頂ける訳が無いじゃないか。
そう、言い聞かせて、早々にずらかるべく会に臨んだ。
前菜。のびる?とか言う名の何らかの植物の根を和え物があった。ラッキョウやエシャロットに似た風味なのだが、断然こちらの方が好みである。真冬の雪深くに生息し、雪を掘り起こして採取するらしい。
店の御主人は、その都度、食物やお酒の説明をして下さるのだが、やはり秋田の方らしく、やや訛が強く、よく聞き取れない。
のびるの他、こんにゃくに似た外観でありながら、食感はワラビ餅の様で、味は海ぶどうのような淡白な海藻風のものもあった。これと山芋千切りの入った器にとんぶりが惜しげ無く載せられている。お醤油をかけて混ぜて頂く。旨い。あのこんにゃく様の名前が聞き取れなかったのが残念である。
お刺身も、ヒラメ、甘エビ、雲丹、紅鮭など豊富で身も大きく新鮮である。
そうしているうちに囲炉裏で炙られていた、鰰が届く。
子持ちである。子持ち鰰の焼き物は、生まれて初めてである。
焼かれた鰰の卵はトロロの様な粘り気をもち、一見ホラー映画の粘液風なのだが、口にするとその粘り気と、卵本来のプチプチとした感触が絶妙に調和し、むしろ心地よい。そして美味しい。
大袈裟な言い方だが、キャビアの山かけ、といった贅沢感がある。(そのような物は食した事が無いが)
もちろん鰰の身も美味しい。頭から骨まで食べられる。
もったいない事に、そこを残す輩もいる。当然、残飯処理を買って出た。
丁度私が座った席が、囲炉裏で魚を焼く御主人の近くということもあったのだろうか、そして、私が酒好きと見抜かれたのだろうか、御主人は、やたらとお酒を薦めてくる。高清水の限定酒(正確な名前は忘れてしまった)を冷やで頂く。
3,4合は入るのではないかと思われる水差しのような器に、これも惜しげ無く一升瓶からドボドボと酒が移される。
もちろん数名でこれを注ぎ合って飲むのだが、幸か不幸か私の周りにはお酒を頂かない人ばかりだったので、ほとんど私が頂いてしまった。
秋田料理といえば、「きりたんぽ」は外せない。
もちろん、これも頂いた。鶏の出汁が効いてて、また、煮込んでもあまり型くずれの無いきりたんぽでありながら、しっかり、出汁が浸透し、実に美味しい。
この段階でまだ一時間も経っていないのだが、既に、もう、大満足。
囲炉裏をみると、また御主人が何かを焼かれ始めた。
光沢のある、大きな烏賊である。
そのままお刺身にしても食べられるそうであるが、そのまま丸焼きにした方が美味しいらしい。
内臓も取らずにそのまま焼かれる。
届いた烏賊は、肉厚で柔らかく、また脇に添えられた内臓の、イカスミも混じった黒々としたヌタが、いい苦みを出していて、酒飲みには堪らない。日本酒がどんどん進む。
気付いたら、妻との約束時間は、とうに過ぎている。
ごめん、妻。
今度、「なまはげ」にお連れするから、許して。orz