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ア・ポワンへの達人のクチコミ
[投稿日:2007/04/12]
ア・ポワンに来るのはこれが四回目だが、前三回はいずれも閉まっていた。休日を調べていなかったのなら仕方がないが、西八王子でそれに当たるとほかにやることは見つけられないから、予習が苦手な身でもネットで何回も調べて行った。一度目は昨年の夏場だったか、とにかくどんよりしていて蒸し暑い金曜日だったと思う。二、三回目は10月の連休直後。このときシャッターに休日の変更が掲示されていて愕然としたが、翌日は営業とされいたので、一晩寝て頭を冷やし再度チャレンジし、「頼もう!」と大声を上げそうになるくらい前がかりで到着したが、またも閉まっていたのだ。三回も臨時休業にぶち当たるという記録は、塗り替えられることは今後ともないだろう。そういう意味で鬼門のような、魔物に取り付かれてしまったような自分を発見するような、因縁や宿命のにおいを感じさせる店である(もちろん私にとってだけ)。このときのことをブログで「シャッターの掲示が剥がされていて、本当は営業日のはずなのに(意地悪で)臨時休業にされた」みたいにくどくど書いたが、10月の連休直後のあの二日つづきの西八王寺行きは、いろいろな要素が複雑にミックスされた、簡単に言えば不条理のなせる技で、お店が悪いわけでも、自分が悪いわけでもない。二度あることは三度あって、四回目もあるのかどうか――ありそうな気がする。「もう忘れようじゃないか、ア・ポワンのことは」しかし我知らずこうして来てしまった。シャッターが降りているのが目に入り、腿がぶるぶる震えかけたが、それは隣で、ついに開店していたのだ。なんという好運だろう!いや月、火曜日が休業日で日曜は休業ではないのだから、ふつうのことがふつうに起こっただけだ。入って正面の生菓子のケースを見ると、こ、これが…3040円かけてわざわざ足を運ぶ価値があったのか、と疑問形のトーンが一気に強まった。なぜならイタリアンメレンゲを使ったお菓子が、すなわちムース系の生菓子が1種類もない。焼きチーズケーキ、ショートケーキ2種、ガトーショコラっぽいケーキ2種、プリンとプリンっぽいお菓子1種ずつ、これ以外にピュイダムール、サンマルクがあるが、場違いに思えるほど、全体に昔の日本の菓子屋然としていて、戦意を早くも喪失した。ガラス越しに工房の一部が見えていて、天井から吊り下がったSt-Dominiqueの標識を発見し、まずサンマルク、ビスキュイショコラ、18年と239日ぶりの苺のショートケーキを注文。待っていると子供がじゃんじゃん入って来る。子供は嫌いなので心の中で「あっち行け!」と言いながら、店内のあちこちに視線を走らせた。不思議なことにフランスの田舎の菓子屋のムードが醸し出されている。アルザスっぽいお菓子が多く、生菓子の冷蔵ケースの上には、タルト・アルパージュというパンとケーキの中間のような、巨大な円形のお菓子が鎮座している。照明がやや暗く、意外な小物が見つかり、文房具店のようだなとも思う。創意工夫のにおいと、ひな祭りのにぎにぎしさが混在している。小テーブルの上には焼き菓子とサブレ類が並べられ、本格系には珍しく動物のサブレがあり、子供を歓迎する店であることがわかる。もっと気難しいシェフが常人には理解できような、複雑怪奇な菓子をこっそり作る館で、ゲゲゲの鬼多郎っぽい人じゃないかとビビったりしていたが、そんなことはなかった。明るく楽しい、健やかな店だ。しかし、品々の注意書き(主にマジックによる手書き)を読むと、期間限定だったり、予約制だったり、すでに売りきれていたりと、こっちが興味を示すと「ハイそれまでよ」の雰囲気もあって、侮れない。音楽的な、一瞬のひらめきで全体像をこしらえる力はあんまり感じないが、創造性に欠けるわけではなく、どちらかと言えば理科系的なセンスで、発明家の顔を持っている。発明家には自己完結性がつきもののような気がするから、そういう意味では四回目にして初めて購入するという異常事態の説明もつく。そう、私は主張を認めないが、不条理にはいちおうアリバイがあった。包装は接客ともどもピカ一で、最優秀賞をあげたいが、個人的にはがさつな包装、つっけんどんな応対でもOKである。サンマルクはジャン・ミエ的精巧さ、ガトーショコラより皮が薄くふんわり感の強いビスキュイショコラは苦味の余韻が長く、ショートケーキはバランスの妙が光っていた。


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- 得票数:4点
・・・料理
・・・サービス
・・・雰囲気
・・・コストパフォーマンス
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