サラファンへの達人のクチコミ
「サラファン」と云う言葉には、妙に郷愁を誘うような独特の響きを持っている様に思えます。
そうして、この言葉を耳にする度に、あの歌が浮かんで参ります。
~赤いサラファン 縫うてみても
楽しいあの日は 帰りゃせぬ
たとえ若い娘じゃとて
何でその日が 長かろう
燃えるような その頬も
今にごらん 色あせる
その時 きっと思い当たる
笑(わろ)たりしないで 母さんの
言っとく言葉を よくお聞き
とは言え サラファン縫うていると
お前といっしょに 若返る~
ロシア民謡:「赤いサラファン」
(ワルラーモフ詞・津川主一・訳)
秋の気配が色濃くなって来た、と、ある夕暮れ・・・
急に思い立って、予約もなしに伺わせて頂きました。
駿河台下の交差点から、煌々とライトアップされた明治大学の新校舎の麓の路地を曲がります。
そこだけ空気が違うような、どこか懐かしい学生街の面影が残っていて、周囲の極端な変貌ぶりとは無縁の様に変わらない佇まいと空気を
漂わせている様に感じます。
ふっと見落としてしまいそうな小さな間口に緑色の天幕が掛かっております。
煤けた壁を見上げながら、狭い階段を下りてそっと扉を開けると、
そこには明るく整然としたお店が・・・
20名入ったら一杯になってしまうのでしょう・・・決して広くはありません。
しかし、こじんまりとしながらも、まるで何処かのビストロの様な雰囲気です。
まさにエルミタージュ(隠れ家)と云った所でしょうか。
丁重に迎え入れられ、一番奥のテーブル(3人掛け)に通して頂きました。
すぐ脇の棚には、何故かシトロエンの本が並び、壁にはこのお店と共に時を刻んできたであろう、古びた振り子時計がゆっくりと時を刻んでおります。
メニュ-は大変魅力的・・・白いビーフストロガノフやお米の入ったロールキャベツ、3種類の壺焼き等、
大変興味深いものばかりでございましたが、店主自らご説明を頂き、「海の壺焼き」と「ロールキャベツ」を組み合わせて頂き、
追加でお勧めのピロシキもお願い致しました。その明快なご説明振りは、快活で気持ちの良い程でございます。
まずはボルシチから・・・
「サワークリームと良く混ぜて、色がピンク色になってからお召し上がり下さい」
との丁寧なご説明。
ほんのりと湯気の立ち昇るお皿に、くすんだ赤色に金色の油膜が広がり、スープの中央には、乳白色のサワークリームが盛られております。
サワークリームをゆっくりと溶かしていくと、曙の空の様な美しい茜を帯びた薔薇色にそれは変容して参ります。穏やかで優しい味わい。素朴というよりはやや上品なお味でございましたが、作り手のぬくもりすら感じさせてくれる一皿でございました。
こちらでしか頂けないというピロシキ・・・
揚げパン生地のそれとは違った、ブリンチキ(クレープ)生地で挽肉や玉葱等を巻いて仕上げられたピロシキは、確かに他では頂く事の出来ない不思議な逸品。
しなやかなしっとりとした味わい。添えられた酢漬けのお野菜と粒マスタードがとても良く合います。
メインは創業者の方から引き継いで不動のレシピで作られているという、お米入りのロールキャベツ
白いパンと黒いパンが籠に添えられて参ります。
柔らかでじっくり煮込まれたキャベツ、お米を練り込んだのである故でしょうか?ねっとりとしていて口当たりの良い種、そして鮮やかな緋色の濃厚なトマトソース・・・
時を越えて伝えて頂きたい一皿でございます。
一口頂いた海の壺焼きも、帆立の貝柱や海老の甘さと融合されて蕩ける様に美味でございました。
お勧め頂いたワインもすこぶる美味しゅうございました。
それも、店主の胸に小さく輝くシュバリエの称号を見れば云わずもがなでございましょうか。
デザートはまるでフレンチのワゴンの様に、チーズケーキ、ガトーショコラ、洋梨のタルト、クレム・ダンジュ等、8種類がテーブルに所狭しと並び、本当に選ぶのに迷ってしまいます。
ナッツ入りのメレンゲとさくらんぼのタルトを頂きました。洗練された・・・と、言うよりも家庭的な手作り感のあるお味でございました。
仕上げの露西亜紅茶のイチゴの甘さとほのかな酸味が嬉しゅうございました。
最後まで丁寧で温かみのある接客にゆったりと寛ぐ“時”を過ごさせて頂きました。
人や器、それにお店の内装、そして訪れるお客様が時と共に変わって行くとしても、誰かが“味”を継続しているのは、なんと素敵な事なのでしょう。
一段と賑わって来たお店を後にゆっくり階段を上っていくと、そこには紛れもない現実の慌しい時間が動いておりました。
夜の帳の落ちた中、ひたひたと神保町の駅に向かう道すがら、私の耳に、あの歌が繰り返し思い出され、それと共に先ほど頂いたお料理やお店の風景が幻となって、あの緩やかな時を刻んでいた振り子時計の音と共に、
ゆっくりと浮んでは沈んでいくのでございました。
~ とは言え サラファン縫うていると
お前といっしょに 若返る~
記念すべき500件目のコメントに・・・
拝
そうして、この言葉を耳にする度に、あの歌が浮かんで参ります。
~赤いサラファン 縫うてみても
楽しいあの日は 帰りゃせぬ
たとえ若い娘じゃとて
何でその日が 長かろう
燃えるような その頬も
今にごらん 色あせる
その時 きっと思い当たる
笑(わろ)たりしないで 母さんの
言っとく言葉を よくお聞き
とは言え サラファン縫うていると
お前といっしょに 若返る~
ロシア民謡:「赤いサラファン」
(ワルラーモフ詞・津川主一・訳)
秋の気配が色濃くなって来た、と、ある夕暮れ・・・
急に思い立って、予約もなしに伺わせて頂きました。
駿河台下の交差点から、煌々とライトアップされた明治大学の新校舎の麓の路地を曲がります。
そこだけ空気が違うような、どこか懐かしい学生街の面影が残っていて、周囲の極端な変貌ぶりとは無縁の様に変わらない佇まいと空気を
漂わせている様に感じます。
ふっと見落としてしまいそうな小さな間口に緑色の天幕が掛かっております。
煤けた壁を見上げながら、狭い階段を下りてそっと扉を開けると、
そこには明るく整然としたお店が・・・
20名入ったら一杯になってしまうのでしょう・・・決して広くはありません。
しかし、こじんまりとしながらも、まるで何処かのビストロの様な雰囲気です。
まさにエルミタージュ(隠れ家)と云った所でしょうか。
丁重に迎え入れられ、一番奥のテーブル(3人掛け)に通して頂きました。
すぐ脇の棚には、何故かシトロエンの本が並び、壁にはこのお店と共に時を刻んできたであろう、古びた振り子時計がゆっくりと時を刻んでおります。
メニュ-は大変魅力的・・・白いビーフストロガノフやお米の入ったロールキャベツ、3種類の壺焼き等、
大変興味深いものばかりでございましたが、店主自らご説明を頂き、「海の壺焼き」と「ロールキャベツ」を組み合わせて頂き、
追加でお勧めのピロシキもお願い致しました。その明快なご説明振りは、快活で気持ちの良い程でございます。
まずはボルシチから・・・
「サワークリームと良く混ぜて、色がピンク色になってからお召し上がり下さい」
との丁寧なご説明。
ほんのりと湯気の立ち昇るお皿に、くすんだ赤色に金色の油膜が広がり、スープの中央には、乳白色のサワークリームが盛られております。
サワークリームをゆっくりと溶かしていくと、曙の空の様な美しい茜を帯びた薔薇色にそれは変容して参ります。穏やかで優しい味わい。素朴というよりはやや上品なお味でございましたが、作り手のぬくもりすら感じさせてくれる一皿でございました。
こちらでしか頂けないというピロシキ・・・
揚げパン生地のそれとは違った、ブリンチキ(クレープ)生地で挽肉や玉葱等を巻いて仕上げられたピロシキは、確かに他では頂く事の出来ない不思議な逸品。
しなやかなしっとりとした味わい。添えられた酢漬けのお野菜と粒マスタードがとても良く合います。
メインは創業者の方から引き継いで不動のレシピで作られているという、お米入りのロールキャベツ
白いパンと黒いパンが籠に添えられて参ります。
柔らかでじっくり煮込まれたキャベツ、お米を練り込んだのである故でしょうか?ねっとりとしていて口当たりの良い種、そして鮮やかな緋色の濃厚なトマトソース・・・
時を越えて伝えて頂きたい一皿でございます。
一口頂いた海の壺焼きも、帆立の貝柱や海老の甘さと融合されて蕩ける様に美味でございました。
お勧め頂いたワインもすこぶる美味しゅうございました。
それも、店主の胸に小さく輝くシュバリエの称号を見れば云わずもがなでございましょうか。
デザートはまるでフレンチのワゴンの様に、チーズケーキ、ガトーショコラ、洋梨のタルト、クレム・ダンジュ等、8種類がテーブルに所狭しと並び、本当に選ぶのに迷ってしまいます。
ナッツ入りのメレンゲとさくらんぼのタルトを頂きました。洗練された・・・と、言うよりも家庭的な手作り感のあるお味でございました。
仕上げの露西亜紅茶のイチゴの甘さとほのかな酸味が嬉しゅうございました。
最後まで丁寧で温かみのある接客にゆったりと寛ぐ“時”を過ごさせて頂きました。
人や器、それにお店の内装、そして訪れるお客様が時と共に変わって行くとしても、誰かが“味”を継続しているのは、なんと素敵な事なのでしょう。
一段と賑わって来たお店を後にゆっくり階段を上っていくと、そこには紛れもない現実の慌しい時間が動いておりました。
夜の帳の落ちた中、ひたひたと神保町の駅に向かう道すがら、私の耳に、あの歌が繰り返し思い出され、それと共に先ほど頂いたお料理やお店の風景が幻となって、あの緩やかな時を刻んでいた振り子時計の音と共に、
ゆっくりと浮んでは沈んでいくのでございました。
~ とは言え サラファン縫うていると
お前といっしょに 若返る~
記念すべき500件目のコメントに・・・
拝