ぽん多本家への達人のクチコミ
●06-02-28訪問 ★店舗写真はブログに掲載★
(写真上)カツレツ全景(横)
(写真中)熱燗とお通しの酢の物、野菜サラダ、カツレツ全景(縦)、ご飯セット(ご飯、滑子の赤出し、漬物)
(写真下)カツレツ拡大、カツレツ断面
先週火曜日の会社帰り、久しぶりに御徒町の洋食店、ぽん多本家を訪れた。前回訪れたのはカメラ付携帯を買うずっと前なので、そう、今から5年程も前になろうか。
ぽん多本家の場所は、JR御徒町駅南口改札を出て、少し秋葉原方向に戻り、中央通りに向う道の途中である。
店の入口は厚く大きな観音開きの木製扉で、かなり威圧感がある。
そして、この大きな扉は、かなり広い店を想像させるのだが、扉を開いて店内に入ると、いきなり目の前にカウンター席4席があって驚かされる。
カウンターの中は厨房である。厨房は結構広く、カウンター席寄りの手前が揚場、奥は包丁を使う板場である。ご飯や味噌汁なども奥にある。
このカウンター席に座ると、目の前で4代目のご主人、島田良彦さんが揚げてくれる。因みに、1階はこのカウンター席のみなのであるが、2階は2人掛けテーブル席が壁に沿って並んでいる。家族連れ客等の場合は、テーブルを着けて使用する。
2人以上で訪れると、まず2階を勧められるが、もしカウンター席が空いていれば、そこに座らせて貰うのも、きっと楽しいと思う。
ここで、周辺知識をご存じない方の為に少し脱線すると、双葉、蓬莱屋、それにこのぽん多本家を加えて、上野とんかつ御三家と呼ばれる。
双葉は、ご存知の方もおられようが、昭和の大横綱、双葉山定次(さだじ)から店名を取っていることから解る様に、昭和初期からの店。
蓬莱屋は、大正初年に松坂屋の横で屋台を出した事に始まり、昭和3年に現在の地に店を構えた。
そして、ぽん多本家は創業明治38年ということで、御三家の中では最も老舗と言って良いだろう。
ご存知の方もあられるかも知れぬが、上野の地にとんかつ屋が多いのは、現在のたっぷりの油で天麩羅の様に揚げるトンカツを編み出した、ポンチ軒というとんかつ屋がこの地で開店した事による。やがてこの地に次々ととんかつ屋が開店していった訳だ。
さて、この日、久しぶりに訪れた僕は、前回と同様にカツレツを頼んだ。
上野から御徒町、そして湯島にかけて色々な店をご紹介しているが、この界隈のトンカツを語る上で、やはりぽん多本家は、外す事のできない店であるから、まずトンカツ、という事になる。ぽん多本家にはトンカツはただ一種類、カツレツしかない。
熱燗1050円と野菜サラダ1050円、それにカツレツ2625円を頼む。
因みに、極めて低温の油で揚げるこの店は、カツが揚がるまでに少なくとも10分以上かかる。15分位は見た方が良い。
そんな訳で、1人で訪問した場合には、手持ち無沙汰になるので、飲み物と、他に何か揚げ物以外の物を頼む事をお勧めする。
熱燗に野菜サラダは比較的直ぐ来るので、野菜を摂るためにも、野菜サラダやハムサラダが良いと思う。
新鮮な野菜を使った野菜サラダは、なかなか美味い。
ちびちび飲んでいる熱燗も無くなった頃、揚げの音が変わった。油切れを良くするため、高温の鍋に変え、2度揚げに入ったのだ。
2度揚げの時間が極めて短い。白く美しいカツとなる由縁である。音が大きくなったかと思うと、直ぐにカツは鍋から上げられる。
出されたカツレツの1つを横に倒し、その肉の面に卓上の塩を少量振り掛け、食べる。
サクッとした衣の食感の直ぐ後から厚い肉の食感、そしてジュワッと肉の旨味が口中に広がる。相変わらず美味い。そして、カツは縦と横に包丁が入れられ、10個に切り分けられているにも関わらず、衣が肉から剥がれる事も無い。営々と伝えられて来た技法が、4代目の熟練の技に現れている。
断面写真をご覧頂きたい。肉の繊維が崩れている。
客の前では行われないが、おそらく肉はかなり叩かれていると思われる。
余分な脂身や筋を取り去り、叩き、寄せて形を美しい楕円に整え、その上で熟成されている物と思われる。
叩いているといっても、絶妙な叩き具合で、肉の食感が程よく残り、軟らかい肉、という状態に仕上げられている。
カツレツを半分程食べ終えたところでご飯セットを頼む。
そして、最後の1つを残して、全て塩で食べてしまった。ソースを掛けるのが勿体無い、そんな気になるカツである。
そして、最後の1切れには自家製ソースを掛ける。
この自家製ソースも、フルーティーな中にスパイシーな風味が混じり、美味いのだ。
付け合せのキャベツに掛けると美味い。
最後に一言、この店の付け合せのキャベツは、悪く言えば若干萎びた感じになっている。以前どこかで、現4代目主人である島田さんが次の様に言っていたと思う。
切りたての新鮮なキャベツは、水分が多く、細く切れば切るほど水が出て来て、揚げ物の衣を台無しにしてしまう、向いていないのだ、と。
少し萎び加減の極細千切りキャベツは、実に濃厚なキャベツの香りと味がする。決して質の悪い物ではないのだ。
そして、しんなりとしたキャベツは、ピンピンとソースを散らしてしまう新鮮なキャベツよりも、実は箸で持ち易いという事も、付け加えておこう。
実によく考えられている訳だ。
しかし、如何せん、単品で2625円というカツレツは、そう容易く誰にでも勧める事が出来る代物ではない事も事実である。
個人的にはお気に入りの一軒なのではあるが…。
(写真上)カツレツ全景(横)
(写真中)熱燗とお通しの酢の物、野菜サラダ、カツレツ全景(縦)、ご飯セット(ご飯、滑子の赤出し、漬物)
(写真下)カツレツ拡大、カツレツ断面
先週火曜日の会社帰り、久しぶりに御徒町の洋食店、ぽん多本家を訪れた。前回訪れたのはカメラ付携帯を買うずっと前なので、そう、今から5年程も前になろうか。
ぽん多本家の場所は、JR御徒町駅南口改札を出て、少し秋葉原方向に戻り、中央通りに向う道の途中である。
店の入口は厚く大きな観音開きの木製扉で、かなり威圧感がある。
そして、この大きな扉は、かなり広い店を想像させるのだが、扉を開いて店内に入ると、いきなり目の前にカウンター席4席があって驚かされる。
カウンターの中は厨房である。厨房は結構広く、カウンター席寄りの手前が揚場、奥は包丁を使う板場である。ご飯や味噌汁なども奥にある。
このカウンター席に座ると、目の前で4代目のご主人、島田良彦さんが揚げてくれる。因みに、1階はこのカウンター席のみなのであるが、2階は2人掛けテーブル席が壁に沿って並んでいる。家族連れ客等の場合は、テーブルを着けて使用する。
2人以上で訪れると、まず2階を勧められるが、もしカウンター席が空いていれば、そこに座らせて貰うのも、きっと楽しいと思う。
ここで、周辺知識をご存じない方の為に少し脱線すると、双葉、蓬莱屋、それにこのぽん多本家を加えて、上野とんかつ御三家と呼ばれる。
双葉は、ご存知の方もおられようが、昭和の大横綱、双葉山定次(さだじ)から店名を取っていることから解る様に、昭和初期からの店。
蓬莱屋は、大正初年に松坂屋の横で屋台を出した事に始まり、昭和3年に現在の地に店を構えた。
そして、ぽん多本家は創業明治38年ということで、御三家の中では最も老舗と言って良いだろう。
ご存知の方もあられるかも知れぬが、上野の地にとんかつ屋が多いのは、現在のたっぷりの油で天麩羅の様に揚げるトンカツを編み出した、ポンチ軒というとんかつ屋がこの地で開店した事による。やがてこの地に次々ととんかつ屋が開店していった訳だ。
さて、この日、久しぶりに訪れた僕は、前回と同様にカツレツを頼んだ。
上野から御徒町、そして湯島にかけて色々な店をご紹介しているが、この界隈のトンカツを語る上で、やはりぽん多本家は、外す事のできない店であるから、まずトンカツ、という事になる。ぽん多本家にはトンカツはただ一種類、カツレツしかない。
熱燗1050円と野菜サラダ1050円、それにカツレツ2625円を頼む。
因みに、極めて低温の油で揚げるこの店は、カツが揚がるまでに少なくとも10分以上かかる。15分位は見た方が良い。
そんな訳で、1人で訪問した場合には、手持ち無沙汰になるので、飲み物と、他に何か揚げ物以外の物を頼む事をお勧めする。
熱燗に野菜サラダは比較的直ぐ来るので、野菜を摂るためにも、野菜サラダやハムサラダが良いと思う。
新鮮な野菜を使った野菜サラダは、なかなか美味い。
ちびちび飲んでいる熱燗も無くなった頃、揚げの音が変わった。油切れを良くするため、高温の鍋に変え、2度揚げに入ったのだ。
2度揚げの時間が極めて短い。白く美しいカツとなる由縁である。音が大きくなったかと思うと、直ぐにカツは鍋から上げられる。
出されたカツレツの1つを横に倒し、その肉の面に卓上の塩を少量振り掛け、食べる。
サクッとした衣の食感の直ぐ後から厚い肉の食感、そしてジュワッと肉の旨味が口中に広がる。相変わらず美味い。そして、カツは縦と横に包丁が入れられ、10個に切り分けられているにも関わらず、衣が肉から剥がれる事も無い。営々と伝えられて来た技法が、4代目の熟練の技に現れている。
断面写真をご覧頂きたい。肉の繊維が崩れている。
客の前では行われないが、おそらく肉はかなり叩かれていると思われる。
余分な脂身や筋を取り去り、叩き、寄せて形を美しい楕円に整え、その上で熟成されている物と思われる。
叩いているといっても、絶妙な叩き具合で、肉の食感が程よく残り、軟らかい肉、という状態に仕上げられている。
カツレツを半分程食べ終えたところでご飯セットを頼む。
そして、最後の1つを残して、全て塩で食べてしまった。ソースを掛けるのが勿体無い、そんな気になるカツである。
そして、最後の1切れには自家製ソースを掛ける。
この自家製ソースも、フルーティーな中にスパイシーな風味が混じり、美味いのだ。
付け合せのキャベツに掛けると美味い。
最後に一言、この店の付け合せのキャベツは、悪く言えば若干萎びた感じになっている。以前どこかで、現4代目主人である島田さんが次の様に言っていたと思う。
切りたての新鮮なキャベツは、水分が多く、細く切れば切るほど水が出て来て、揚げ物の衣を台無しにしてしまう、向いていないのだ、と。
少し萎び加減の極細千切りキャベツは、実に濃厚なキャベツの香りと味がする。決して質の悪い物ではないのだ。
そして、しんなりとしたキャベツは、ピンピンとソースを散らしてしまう新鮮なキャベツよりも、実は箸で持ち易いという事も、付け加えておこう。
実によく考えられている訳だ。
しかし、如何せん、単品で2625円というカツレツは、そう容易く誰にでも勧める事が出来る代物ではない事も事実である。
個人的にはお気に入りの一軒なのではあるが…。