石かわへの達人のクチコミ
「鯛茶漬けときなこのムース」、また食べました!前回は黒豆にすっかりやられまして、後々お茶漬けの印象がかすんでしまいましたが、今回はお出汁が、すばらしかった。炭焼きの香り含みの鯛の練りものが混ざって溶けてなくなる寸前のお汁が、とにかく素敵です。日本人に生まれて良かったと思うことの多い昨今のヤスコ、この時ばかりは陶然といたしまして言葉を失いました(笑)。形状、色合い、陶芸作家さんの真心さえ様々に異なる器に盛られた、主役と脇役たちの数々を眼下に眺めながら(あっ三つ葉の香りがとても新鮮!)、「まず半分を、出汁を掛けずに、ごはんに乗せて、そのまま、丼のようにして…」この決まり文句を聞くと、期待が高まって、もうそれだけで唾がじわじわ出てまいります。じっと耐えるこの二十秒間が好きなんです。食べ方を知っているのに、訊かれるといつも知らないと首を振るのはこのためです。ただ、半分は4割だけ、と訂正させていただきたい。鯛はお出汁と出会った方が幸せになれるのではないかしら(自分の幸せを省みずにこんなことを申し上げるのはなんでございますが…)、そんなふうに思うのです。きょうを含めて残り三日となった、期間限定の新宿高島屋イートイン、またいつか開催されるものと信じております。★★★★★神楽坂のこちらに…と申し上げたいところですが、新宿高島屋のイートイン(B1ほぼ中央)にうかがいました。名物の鯛茶漬けとデザートで1575円、お店の方とおぼしき若い職人さんが呼び込みに精を出していらっしゃり、背中を押されるように暖簾をくぐった次第です。こちら例のあのガイドで星をもらっていらっしゃるようですね。ちっとも存じませんでした。もう一名の女性の方、こちらもお店の方ですね。すぐにわかってしまうのは、百貨店の接客力がなにしろ低下してしまったということではないかしら。外と給仕を兼ねて大忙しの様子でしたが、丁寧に食べ方を説明していただきました。まず天然の鯛を炭火で焼きほぐしたものが、中央の小皿にございます(実際には長時間すり鉢に当てて、フランス料理で言うところのリエットに仕上げてございます)。こちらをよいお水で炊き上げたホカホカのご飯の上に乗っけて、まずはそのままいただきます。薬味、お出汁はなしです。こうしますと鯛のうまみがよくわかるのです。なっとくのお味でございましたが、正直相槌を打つ程度で、なるほどの域を越えてはおりません。ところがご飯をお代わりしまして(ご飯のお代わりは自由)、残りの鯛と薬味を乗せ、お出汁を掛け回しますと、ドラスティックな変化が生じます。炭の香りがパッと立ち、鯛に含まれている脂がお出汁に溶け出します。お出汁が、なんとも香り高い!こちらのお出汁には本当にノックアウトでございました。薬味の三つ葉からは土の香が匂い立ち、本山葵はお出汁に溶けつつ鯛の練り物にも深く浸透して行き、お茶漬けという一つのお料理を完成させました。普段の食生活をいかに疎かにしているかを実感するひとときでもございました。細胞の隅にまで自然が染み渡る、と申せば、つきづきしくもございましょう。デザートのきな粉のプリンも圧巻で、黒豆と黒豆ベースのソースには、西洋のデザート群を抜き去るほどの力がございまして、それでいて、でしゃばったところは少しもございません。明日とおっしゃらず、ぜひ本日…。召し上がれ…。
尚、近々移転のご予定があるとか。これからも目を離せないお店でございます。
尚、近々移転のご予定があるとか。これからも目を離せないお店でございます。