馳走 口卒啄への達人のクチコミ
●05-04-15訪問 ★店舗写真はブログに掲載★
(写真)春野菜芥子マヨネーズ和え、じゃが芋鶏挽肉の餡かけ、八寸、鴨豆腐、かやくご飯、菜の花漬け、一口善哉
ちと、古い訪問記で恐縮である。
銀座6丁目、並木通りより1本銀座寄りの西五番街沿いの、白いラベビルの隣にある浦野ビルの2階に、この店、馳走口卒啄(ちそうそったく。口と卒で1字である。)はある。
以前から、一度訪問したいと思っていた。
夜の部も非常に安く、本格的関西割烹を味わう事が出来るという話は聞いていたが、雑誌で紹介されていた昼のみ供される点心の美しい写真が、僕を捉えていた。
その写真は、日本料理屋で言う、八寸であった。どうやら、八寸がメインに据えられたランチらしかった。そして、同時に浮かんだのが、茶懐石でいう、点心である。
調べてみると、案の定、茶道を嗜むご夫婦がやっておられる小さな店との事。別に見つけた店内写真を観ると、簡素な店の室礼のそこここに、侘び寂(わびさび)の精神が宿っている。
京都育ちで寺社仏閣巡りが好きで、茶の湯にも興味があるので、一応、それなりの目は持っているつもりだが、僕から観た店内写真は、余分な物を削ぎ落とした美、が感じられる物であった。
そんな店に、この日、連れと予約を入れ、やっと訪れる事ができた。
それにしても解り難い店である。何せ、店は2階なのだが、1階には雑居ビル特有の小さなプレートがあるだけ。開店前に付近についていたのだが、3度も前を通り過ぎ、おかしい、絶対この辺だとウロウロ…。やっとの思いで、「おお、このビルか…。」と、狭い階段を登ると、何と、階段の途中から女性ばかりの行列ができている…。
やがて開店時間になり、鉄製のマンションの扉の様な入口ドアが開き、接客の女性が出て来て予約した人の名を呼んで確認し、呼ばれた人から店に入り、席に案内される。
店内はそれ程広くないが、割烹店であることを考えれば、狭くも無い。
店主の目が届く、ちょうど良い広さではあるまいか。これを超える広さになると、もう割烹と呼ぶよりは日本料理屋と呼んだ方が良いであろう。
店内は入って右手に狭い厨房、その前にカウンター席が4つほど。左手に部屋が広がるのだが、確か部屋はL字に折れていた。折れた先の方は厨房から見えないと思われる。
僕らは厨房の前、2つ目のテーブル席であった。厨房で忙しく立ち働く、働き盛りの年齢のご主人や、若い衆が良く見える。接客は奥さんともう一人、先ほどの若い女性である。娘さんかも知れぬ。
席に着くと順に注文が聞かれる。勿論、点心を頼む。「(食後に)善哉を食べるか?」と聞かれたので、「勿論、頂きます。」と答える。
順々に注文が聞かれてゆく。一通り注文を聞いた上で、厨房につながれた。流れ作業の様な気もしないではないが、この混み具合では、致し方あるまい。
昼にはこの点心2000円の他にも、5000円と7000円のコースがあったのだが、この慌しい中で食べるには、点心がちょうど良さそうである。しかし、昼がこれほど混み合うものだとは、思わなかった。
やがて、点心の短いコースが、先付けの、春の野菜の芥子マヨネーズ和えから始まった。
ほんの少しでもあるし、マヨネーズという邪道でもあるのだが、これが実に美味い。
次いで、じゃが芋に鶏挽肉の餡をかけた物。これは素朴なものだが、餡に使われている出汁の加減が良く、美味かった。量が少ないので、あっという間に食べ終えてしまう。次がメインの八寸なのであるが、これがなかなか来ないが、仕方あるまい。満席の客を一斉に相手する等という事は、普通、割烹店ではあり得ないシチュエーションなのだから。
だから、本当なら酒を飲みながらチビチビと料理を味わい、待っていたいところである。
やがてある程度の八寸が出来上がった様である。次々とテーブルに出されて行く。しかし、ほとんどの客が点心を注文しているので、全部には行き渡らない。手前に座っていて良かったなあ…と思った次第。
目の前に置かれた八寸の美しい事。
元々、八寸は、一皿の上に美しく季節を表現してみせる板前の腕の見せ所であり、美しくて当たり前、技巧を凝らすも当たり前なのであるが、それにしても美しい。
コースで八寸にお目にかかろうとすると、ある程度以上の高いコースを頼まねばいけない。安いコースに八寸は無いのが普通である。
その八寸に、確実に会えるのであるから、嬉しい。
食べるのが勿体無い様な…とよく言うが、八寸はそういう物である。連れの悲鳴を聞き流し、構わずパクパク食べ始める。それにしても日本酒が欲しくなってしまう。日本酒でもあれば、ゆっくり食べられるのだが…。
八寸と共に出された鴨豆腐も美味かった。鴨肉の旨味、軟らかさ、そしてその旨味を吸った豆腐の美味さ、申し分の無い一品であった。
そして春の息吹の菜の花漬け。
食事が終了してから、最後の一口善哉が出るまではかなり待たされて閉口したが、善哉自体は美味い物であった。
もっと会社の昼休みの時間が終了した後の時間帯に訪れるのが良いのかも知れぬ。
しかし、この日来ていた客層を見ると、ほとんどが主婦層の様であったので、この混雑は余り変わらないのかも知れぬ。
やはり、主婦層が来ない夜に、ゆっくり来るのが、この店の本来の使い方なのであろう。
(写真)春野菜芥子マヨネーズ和え、じゃが芋鶏挽肉の餡かけ、八寸、鴨豆腐、かやくご飯、菜の花漬け、一口善哉
ちと、古い訪問記で恐縮である。
銀座6丁目、並木通りより1本銀座寄りの西五番街沿いの、白いラベビルの隣にある浦野ビルの2階に、この店、馳走口卒啄(ちそうそったく。口と卒で1字である。)はある。
以前から、一度訪問したいと思っていた。
夜の部も非常に安く、本格的関西割烹を味わう事が出来るという話は聞いていたが、雑誌で紹介されていた昼のみ供される点心の美しい写真が、僕を捉えていた。
その写真は、日本料理屋で言う、八寸であった。どうやら、八寸がメインに据えられたランチらしかった。そして、同時に浮かんだのが、茶懐石でいう、点心である。
調べてみると、案の定、茶道を嗜むご夫婦がやっておられる小さな店との事。別に見つけた店内写真を観ると、簡素な店の室礼のそこここに、侘び寂(わびさび)の精神が宿っている。
京都育ちで寺社仏閣巡りが好きで、茶の湯にも興味があるので、一応、それなりの目は持っているつもりだが、僕から観た店内写真は、余分な物を削ぎ落とした美、が感じられる物であった。
そんな店に、この日、連れと予約を入れ、やっと訪れる事ができた。
それにしても解り難い店である。何せ、店は2階なのだが、1階には雑居ビル特有の小さなプレートがあるだけ。開店前に付近についていたのだが、3度も前を通り過ぎ、おかしい、絶対この辺だとウロウロ…。やっとの思いで、「おお、このビルか…。」と、狭い階段を登ると、何と、階段の途中から女性ばかりの行列ができている…。
やがて開店時間になり、鉄製のマンションの扉の様な入口ドアが開き、接客の女性が出て来て予約した人の名を呼んで確認し、呼ばれた人から店に入り、席に案内される。
店内はそれ程広くないが、割烹店であることを考えれば、狭くも無い。
店主の目が届く、ちょうど良い広さではあるまいか。これを超える広さになると、もう割烹と呼ぶよりは日本料理屋と呼んだ方が良いであろう。
店内は入って右手に狭い厨房、その前にカウンター席が4つほど。左手に部屋が広がるのだが、確か部屋はL字に折れていた。折れた先の方は厨房から見えないと思われる。
僕らは厨房の前、2つ目のテーブル席であった。厨房で忙しく立ち働く、働き盛りの年齢のご主人や、若い衆が良く見える。接客は奥さんともう一人、先ほどの若い女性である。娘さんかも知れぬ。
席に着くと順に注文が聞かれる。勿論、点心を頼む。「(食後に)善哉を食べるか?」と聞かれたので、「勿論、頂きます。」と答える。
順々に注文が聞かれてゆく。一通り注文を聞いた上で、厨房につながれた。流れ作業の様な気もしないではないが、この混み具合では、致し方あるまい。
昼にはこの点心2000円の他にも、5000円と7000円のコースがあったのだが、この慌しい中で食べるには、点心がちょうど良さそうである。しかし、昼がこれほど混み合うものだとは、思わなかった。
やがて、点心の短いコースが、先付けの、春の野菜の芥子マヨネーズ和えから始まった。
ほんの少しでもあるし、マヨネーズという邪道でもあるのだが、これが実に美味い。
次いで、じゃが芋に鶏挽肉の餡をかけた物。これは素朴なものだが、餡に使われている出汁の加減が良く、美味かった。量が少ないので、あっという間に食べ終えてしまう。次がメインの八寸なのであるが、これがなかなか来ないが、仕方あるまい。満席の客を一斉に相手する等という事は、普通、割烹店ではあり得ないシチュエーションなのだから。
だから、本当なら酒を飲みながらチビチビと料理を味わい、待っていたいところである。
やがてある程度の八寸が出来上がった様である。次々とテーブルに出されて行く。しかし、ほとんどの客が点心を注文しているので、全部には行き渡らない。手前に座っていて良かったなあ…と思った次第。
目の前に置かれた八寸の美しい事。
元々、八寸は、一皿の上に美しく季節を表現してみせる板前の腕の見せ所であり、美しくて当たり前、技巧を凝らすも当たり前なのであるが、それにしても美しい。
コースで八寸にお目にかかろうとすると、ある程度以上の高いコースを頼まねばいけない。安いコースに八寸は無いのが普通である。
その八寸に、確実に会えるのであるから、嬉しい。
食べるのが勿体無い様な…とよく言うが、八寸はそういう物である。連れの悲鳴を聞き流し、構わずパクパク食べ始める。それにしても日本酒が欲しくなってしまう。日本酒でもあれば、ゆっくり食べられるのだが…。
八寸と共に出された鴨豆腐も美味かった。鴨肉の旨味、軟らかさ、そしてその旨味を吸った豆腐の美味さ、申し分の無い一品であった。
そして春の息吹の菜の花漬け。
食事が終了してから、最後の一口善哉が出るまではかなり待たされて閉口したが、善哉自体は美味い物であった。
もっと会社の昼休みの時間が終了した後の時間帯に訪れるのが良いのかも知れぬ。
しかし、この日来ていた客層を見ると、ほとんどが主婦層の様であったので、この混雑は余り変わらないのかも知れぬ。
やはり、主婦層が来ない夜に、ゆっくり来るのが、この店の本来の使い方なのであろう。